mizterxのブログ

数学について自分の覚書き(忘れた頃に読んでもOK)

コロナ関連 8割接触を減らす数学モデル

コロナ汚染を受けての政府の対策「人との接触を8割減らしてほしい。6割では足りない」を数学的に検証してみました。


なおあくまで数学モデルとして単純化してますので、ご参考までに。


はじめに今回この検証を思いついたきっかけはSNSでの起業家Hさんの素朴な疑問の投稿「自社では社員の出社をどのくらい削減すればよいのか」からです。Hさん 感謝します。


簡単なモデルとして以下のケースを想定します。


「社員の数が11人、一人一人がすべての社員とface to face で二人で毎日、濃厚接触する」


その場合は接触の回数は一人一人が他の10人と接触するわけだから 11C2 = 55  55回ですね。
さてここで「8割減らす」の解釈が二つ存在します。


1. 単純に一人一人が10人接触したいたのを2人に減らす。つまり出社する社員を3人に減らす。 >  この場合は 3C2 つまり 3回に減ります。
2. 社員が11人の時の接触回数55回を8割減らす。つまり5人にすれば5C2で10回 10/55で18% つまり 82%削減されます


11人を2人に減らすのか、いやそんなに削減する必要はない5人に減らせば8割削減になる。


どちら見解が正しいでしょう?


僕は単純に人数を8割減らす、つまり1でいいと思います。根拠は? だって会社も色々、社員数も色々、それぞれに2のようなややこしい計算をするのは現実的ではないでしょう。それとこっちの方が安全な解釈ですしね。


では仮に1が正しいとして、3人出社を毎日継続していれば、それでもやっぱりそれなりにリスクは高まっていくはずですね。


そこでの想定は下記の通りです。


「ある日の感染者数は前日までの感染者数の増加のスピードに比例する」イメージ的には何となくわかりますよね。(これはこの会社の例としてでなく、一般的な見解です) 


これを式にするには高校の微分積分が必要になります。
後者のほうはちょっとややこしいけどスピードつまり速度といえば 「距離を時間で微分すると速度」と習いましたよね。


この場合は距離 -> 感染者の数 、 時間 -> 日 に置き換えられます。
そうすると 感染者数をN 日にちをt とすると
dN/dt =kN
となります。ここで、k は比例する係数です。


ぼくはこの比例係数 kが最初の議論でいうところの接触回数と関係があると思います。


つまり接触回数が減れば前日までの感染者増加のスピードとの相関が緩やかになる。(すみません、大事な部分だけど良い表現がみつからなくて)


上の式は微分方程式といってこれを解くと 解は、N=e κt  (eのkt乗と読みます)となります。(eは指数関数といって数Ⅲで習います。文系では習わないかもしれません。πみたいな数で2.7…)


この右辺のeのkt 乗のk に「減らす度合い」が効いてくるわけです。


k倍で効いてくるより k乗で効いてくるほうが効果は圧倒的に大きいですよね。


そしてこのグラフはテレビでよく話題になる感染爆発に関係するグラフなわけです。


上の会社の例でいうと8割減らすとeの55乗だったところがeの3乗つまり「e 掛ける e 掛ける e」に減るわけです。


これが6割だと不十分な根拠は?
そこから先は専門すぎてわからないですが、専門家の見解でこの係数を3/55に減らせば、安全領域なんではないでしょうか。


ここまではまとめますと「一人一人が接触人数を8割減らすとまずは全体での接触回数は3/55 つまり5%に削減されます。そしてそれが毎日継続されれば指数関数で効いてきます」


最後に今回はある会社での毎日の出勤者の単純なモデルで考察しましたが、日本全体でも同様に国民一人一人がそれぞれの行動範囲のコミュテイをもっているわけですから当たらずとも遠からず、イメージ的にはこんなもんでいいのではないでしょうか。


国民一人一人の配慮が大きな状況回復の力になる式ですね。


追伸!  大学の先輩からk値というのを小耳にはさみました。


X=累計感染者数・Y=1週間前の累計感染者数
とおくとき ・K=(X-Y)/X=1-Y/X  つまり上記のdN/dt と同様な指標と思います。


結果的にこの指標で緊急事態が解除されましたね。

ゲーム理論について面白解説 高校の同窓仲間集めて

先輩後輩諸兄こんにちは。私たち21回生はフェースブックでの内輪のコミュニティでもよく情報交換しており、時には激論に時には下品に盛り上がっています。今回わたしがフェースブックで募ったのは初の試みの勉強会。私の仕事は半導体フラッシュメモリーのエンジニアですが、それと全く関係なく個人的にかじった経営学の「ゲーム理論」その基本コンセプトを中学数学の知識だけを使って解くというお題目に参加してくれたのは21回生5名。場所は3月閉鎖前の渋谷東急プラザの1階のコインスペースという、学校の食堂みたいなとこ。開始の合図はやっぱり「起立!礼!」(故リラ先生風に一同の目を見渡して礼!)文系の人も興味を持ってくれたのですが、”巌の意志”で最後までついて来てくれたのはMRI権威の高原君、ソフトウエアの巨匠の村山君、故偉大な有名俳優の孫で息子だけど僕と同業エンジニアの田村君(早弁の現行犯でコラー!)の3名、築地の大地主の寺島君は早々と脱落して居眠り、電磁波問題でも活躍した元TVディレクター利田君は○○本を読んでるし、なんだか図らずして当時のありがちな授業風景が再現されました。
数学好きな方は今回の勉強会のお題目も挑戦してみて下さい。元ネタは東大後期入試ですが(ゲーム理論では有名な基本問題)パズル風に噛み砕きました。参加者からは「面白い結論だ」と好評。 
問>市場に出回っているある製品XはA社、B社の二社独占で生産されています。Pを市場での統一価格(二社とも同じ値段で売る)、Qを市場全体での生産量として、生産量が多くなればなるほど価格が下がるという直線関係を前提とします。(P=a-b x Q  a、bは正の定数) 
ここで会社Aでの生産量をq1、会社Bでの生産量をq2として(当然Q=q1 + q2 )次の二つのケースを想定する。ケース1>「二社がお互い示し合わせて市場全体の利益(つまりP x Q)が最大になるようにする場合」 ケース2>「二社のそれぞれの利益(P x q1 と P x q2 )が最大になるようにお互いがけん制し合う場合」
そうすると、ケース2はケース1と比べると市場全体としての利益が9分の8(およそ89%)に縮小してしまうというのが結論です。
リラ先生、西沢先生に習った中学数学のみを使って導きだした結論はビジネスの枠を超えてなんか普遍的な真理を語っている気がします。「いがみあうのはやめて地球全体の利益を考えようよ」みたいな。この問題のケース2の状態はノーベル賞学者ナッシュ博士の発見した「ナッシュ均衡」と呼ばれ、博士が学生時代に女性をナンパする時の駆け引きで思いついた理論だそうです。やっぱ駒東生に似合ったお題だったか?残念ながら博士はつい最近、交通事故で他界されました。
ところで今回の開催場所、東急プラザの5階の紀伊国屋では21回生の右田店長が忙しく接客しておりました。右田君は東急プラザ閉館前に開催された渋谷昭和回顧展のテープカットもされました。私たちにも思い出深い昭和の幕を閉じる一役を21回生が担ったこと誇りに思います。
皆様もいつもの同窓会を少し趣向を変えてこの様なテーマを決めての少人数での勉強会も気楽に企画してみてはいかがでしょうか?
謝辞:今回の参加者の高原君はご自分のブログですでに報告してくれたので、そこからもカンニングして参考にさせてもらいました。写真もありがとう。
 解答のポイント>>解答図を参照。ケース1で全体の利益PxQの最大値は二分の一のところになることをケース2に応用するとそれぞれが1/3づつの点で均衡になります。

世界をつなげるフーリエ級数 A.I.ーバイオリンー素数

今回のテーマは色んなこととつながっていて複雑だけどロマンがあるお話です。


まずはこの式


1/1^2 + 1/2^2 + 1/3^2 + 1/4^2 ... (注 ^2は二乗という意味です)を無限に足すとどんな値になるか。


答えは不思議なことにπが出てくるんですね。


証明の仕方は一つではないのですが、一番スマートでイメージしやすい方法をご紹介します。


フーリエ級数を使った証明です。


フーリエ級数の数式的な説明は省きます。


簡単に言いますとどんな周期的な関数もSin Cosの色んな周期(倍々の)の関数の無限和で表せちゃうという魔法の公式です。以下がイメージです。




さてここで立ち止まって考えて見てください。


最初の式とこのSinCosの無限和がどう結びついて証明されるのか?イメージで結構です。


イメージできましたか? この1/1^2 ... 1/x^2 それぞれがSin Cosの色んな倍々周期の関数なんでしょうね。それでどちらも無限に足していく。わけですね。


そうするとここで問題はどんな周期的な元の関数をSinCosの無限和で表せば、この無限和の答えにつながるのか?ですね。 そこで手がかりになるのが二乗でしょう。


二乗が出てくる簡単な関数といえばY=X^2ですね。 これを周期的な関数にするするのです。



以上でざっとイメージで概略を説明しましたが、おっと一つ忘れてました。 なぜπが出てくるのか? これはですね、上の二次関数の周期のグラフ。これを1周期つまりπまで積分して囲まれた面積を求めるとπを含んだ値が当然でてくるんですね。だからπが無限和にでてくるわけです。


ちなみに答えの前の式は下記の通り 幸い sinは消えてcosだけの無限和です。


-4cosx + cos2x -4/9cos3x + ......


これをグラフにすると


これをちゃんとした証明は下記のLINKの最後の例の部分です。
フーリエ級数展開の公式と意味 | 高校数学の美しい物語


さてここでこのフーリエ級数が応用される場面たっくさんあるのですが、簡単に紹介したいと思います。


一つはデジタルアナログ変換 人工知能にも欠かせません。デジタルというのはカックンカックンした周期的な信号ですよね。これがたっくさんのSinCosの滑らかなアナログ信号の和で表せるからデジタルからアナログへ変換されるわけです。


もう一つは私の趣味の音楽 得にバイオリン! 倍音というのはオクターブ上の音なんですがその倍、そのまた倍 こういう倍音のたくさんの和!(イメージ的に最初の式に似てますでしょ) バイオリンの独特の音はこの倍音の和で構成されているわけでまさにフーリエ級数ですね。 だから下手な人が弾くとよく出るキーっていう高音もこの倍々倍音なんですね。この音が出ないようになりたいです^^


バイオリンの倍音については下記LINKがとても参考になりました。
https://www.sasakivn.com/werkstatt/onkyoex/vnspectram.htm


最後に一つ! これは未だに解決されていない数学の難問 リーマン予想の式の特殊な場合なんですね。 この式では2乗ですが、この数字の2のとこに複素数がきたり、あれこれしても何だかんだ、素数の壮大な証明につながるわけです!